10 ヘルシージャンクフード
ジャンクフード。
ジャンクフードに限らず、ファストフード、B級グルメといわれるものにつきまとう、ちょっとワルなイメージ。
高カロリー。高脂肪。高コレステロール。添加物たっぷり。
野菜がほとんど入っていないか、入っているとしても加工の末微量栄養素も食物繊維もほぼゼロ。
甘いか、しょっぱいか、辛いか、はたまたその全部。とにかくも味がはっきりしている。
この手の食べものの特徴といったら、概ねそういうところでしょうか。子どもの「食育」には入れたくない食品群です。
あまり健康的な食品ではないことはわかっている。なのに、そういうものがむしょうに食べたくなること、ありませんか。
健康志向のあなたの心の底に潜む、ジャンクフード心に注目!フタをしてしまうことはありません。
ジャンクなイメージのヘルシーフードをつくればいいのです。
手づくりなら添加物の心配は無用。オーガニックの材料と、天然の調味料にスイッチして手づくりしたら、ジャンクフードはヘルシーフードに変身します。
ヨシベジは、ジャンキーなものはジャンキーに、ああ、やっぱりこうでなくっちゃ、な味を出すために探究心を燃やします。
たとえばベジバーガー。ソースは濃厚気味に。バーガーのパテは、ハンバーガー屋のあの感触をイメージしながら手づくりします。といってもイメージしているのは大手のそれではなく、さしずめ本物志向の、私のふるさと長崎の佐世保バーガーのイメージでしょうか。何種類もの植物材料を使うパテづくりのプロセスは、レシピとしては少々込み入っていますが、これこそオールベジタブル料理の醍醐味でもあります。パテを焼いているときの、鉄板から漂う匂いは、不思議なことにまさにハンバーガーショップなのです。
バーガーバンズにマスタードを効かせて豆乳で作ったSOYマヨネーズをたっぷり塗って、焼き上がったパテとともに野菜をたっぷりはさみ、ケチャップや手づくりソースもじゅわっとジューシーに効かせます。ここに、生のジャガイモからつくったフライドポテトと自家製ジンジャーエール、作りおきのピクルスがあれば、ジャンキーなシチュエーションは完璧です。
先に、ヒントは至るところにある、と言いましたが、実は、自然食品と対極にあるような一般的な
加工食品も、例外ではありません。
食品表示のラベルに書ききれないくらいの添加物を駆使した加工食品は、スーパーの商品棚のほとんどを占めています。
裏をひっくり返してみると、メーカーの創意工夫に感服します。方向性はまったく違うものの、発想がクリエイティブであることは間違いありません。
乳化剤、増粘剤、○○エキス、香料・・・それぞれの添加物や材料に、役割を計算し尽くして入れられたものだから、その入れた理由に、なるほど!と教えてもらうことも多いのです。その効果を出すための要素は、もともとは天然の食材のなかにあるものです。味の安価さと大量生産・大量流通を可能にするために、添加物を入れるのだけど、キッチンではその必要がありません。むしろ、わざわざ不自然なものを食べもののなかに、入れる理由がありません。
まず「源~みなもと~」に戻ってみましょう。
うまみのもとであるアミノ酸を、化学調味料に頼る代わりに、そのオリジンである昆布を使う、というところから始めてみます。さらに干し椎茸や香味野菜など、ダシ力のある素材でバックアップしよう、などというふうに発想を広げます。魚がオッケーなら、煮干しや鰹節も使います。
増粘剤はなるほど、食べていてぱさつかない、結着力がある、などの効果があります。同じく粘り気やなめらかさを出すためには、どんな天然の材料があるのかな。そうだ、葛粉を入れてみよう、もしくはとろみのある山芋を加えてみよう。
こんな発想のゲームは、独りきりでは成り立ちません。食のあるところ、食のために執念を燃やしてきた先人がいます。不自然な食品開発の場にも。
至るところにあるアイデアを逆活用して、体が心地いい、ナチュラル路線に変換してしまいましょう。