17 エッジに宿るエネルギー
皮・根・軸・芯。普通なら捨てられてしまう、端っこ(エッジ)には、美味しさが詰まっています。オーガニックで力みなぎる健康野菜なら、なおさらのことなので、活かす方法を考えてみましょう。
皮
皮は味・香りが濃い部分です。固くなくてきれいな皮なら、そのまま料理します。
ただし、皮はそもそも外界から自分のからだを守るもの、固かったり、アクがあることも。そんなときは皮をむきますが、オーガニックに育った野菜ならとくに、ただ捨ててしまうのはもったいないかもしれません。
たとえば人参。冷凍してとっておいて、スープストックに使います。スープストックについては、次の項目で。
レンコンの軸とその皮は刻んでごま油で炒め、味噌をからめるとレンコン味噌の出来上がり。この部分は気管支のお手当によいと、昔ながらの養生法に出てきます。
蓮根の皮はほかにも、素揚げにして塩をひとふりし、お酒に合うレンコンの皮チップスにするのもいいですね。
大根の場合。皮を厚めにむいて、一口大に切って醤油漬けにしたり、千切りにしてきんぴらに。ごはんがすすんで困るくらいです。
根
ネギやセリ、ミツバの根っこは、きれいにお掃除して、天ぷらにします。手間がかかりますが、ぜいたくで美しい一品です。パクチーの根っこは、タイ料理のベースに欠かせない食材。つぶしてアジア系料理のだしにしたり、すり鉢で潰して、にんにくや生姜と一緒に炒めスパイスを効かせたベースをつくります。
芯と外葉
セロリの株元部分は香りのカタマリ。買い物の際も、このコブが大きいものを選ぶようにします。
ヨーロッパでは、セロリアック(根セロリ)という定番野菜がありますが、日本では高級スーパーで見かけるくらい。セロリよりも優しい風味の、握りこぶしから手まりくらいの大きなコブ(株)です。しっかりしまった身は、煮込みにしたり、千切りサラダにします。日本では手に入りづらいのですが、セロリの株元を活用。上品な香りを煮込みに使います。
ところで、露地栽培のセロリは、一般に栽培されているものよりも個性が強いものです。
とくに葉っぱは緑も濃く匂いも存在感たっぷりなので、持て余しそうな部分です。そんなときはかき揚げ、つくだ煮がおすすめ。それでもたくさん葉っぱがあるときは、刻んで冷凍しておきます。チャーハンに、スープに、ぱらりと加えます。
レタスのサラダに使わなかったごわごわの外葉の部分は、シャキシャキ食感が持ち味なので、炒め物、みそ汁の実として、最後に加えます。キャベツの外葉もスープストックにおすすめです。我が家ではうさぎのおやつになることが多いですが。
種・ヘタ
ゴーヤの種もワタも食べられる、と知ったのはインド料理から。出始めから盛りの頃のゴーヤならば、そのまま1センチ弱の厚さにスライスし、天ぷらにしたり、軽く粉をまぶしてフライパンで焼いてみてください。かりっとした種の歯ごたえはクセになります。インド・ベンガル風にするなら、ターメリックと塩をまぶしてじっくりと焼きます。シンプルイズベスト!そんな歓声が聞こえてくるおいしさです。むしろ種のところが美味しいのです。
ピーマンの種、ヘタの部分は、やはりこれも若いときは丸ごと食べたいもの。オリーブ油と塩をまぶして鉄鍋に入れて蒸し焼きにします。とくに中まで加熱されると種はとろりと新食感。
また、ヘタからも種からも香りのいいダシがでるので、こちらも冷凍してとっておいて、スープストックに使います。
エッジの活用は工夫次第。「一物全体」という言葉にもあるように、ひとつのお野菜をまるごといただくというのは、野菜にとっても人にとっても、バランスのとれた食べ方だと思います。
とはいえ、なんとしてでも使い切らなきゃと闘志を燃やす必要はありません。
土っぽい、スジっぽい、汚れている、そんなときは無理して使いませんし、忙しくてできないときは、土に帰します。自然の寛容さにゆだねます。