日々のノート

植物料理研究家YOSHIVEGGIE(ヨシベジ)のブログへようこそ。自然のリズムと同期する生き方。セルフラブから始まる地球平和。ノート術。生きづらさをギフトに変える心理学。食べもの、暮らし、マインドフルネス。

ニューアース・キッチン13 多様性と調和

 

13 多様性と調和

 

私がメニューづくりをする際には、なんとなく頭の中に描いている「多様性と調和」マトリックスを使います。いろんな食材や料理があって飽きない、それでいてテーブルの上でうまくまとまっている献立にするための指標です。

 

お手本は、自然界・生態系のありかたです。

タイプの違う要素、ときに対極的な要素が、同じ場所に無理なく混在している状態。偶然バラバラに一緒にいるというよりは、お互いを引き立て合い補い合っているバランス状態。そう、関係し合っている状態です。

 

古今の知恵も借りて、言葉にしてみるとこのようになります。

 

五味

 

甘み・酸味・塩味・苦み・うま味  

 

中国の陰陽五行説では、うま味ではなく辛みを五味としています。

他に、渋みという味覚もありますね。山椒のように、しびれる味覚もあります。

 

デザートビュッフェに行くと、最初嬉しく、だんだんと苦行になってきます。いろんな味がほどよく混ざっている食事は、舌も脳も飽きを感じません。

 

スイーツといえば、マクロビオティックでも、お菓子やデザートづくりの際、果物などの甘さを引き立てるためにごく少量の塩を入れます。塩を加えた途端、甘さを一気にバックアップしてくれます。たとえ塩味として感知しなくても、です。

和菓子、アジアンデザート、そして世界的に流行している塩味スイーツも、やはり甘さと塩の関係を活かしています。

あまから、うまから、甘酸っぱい、という王道の組み合わせも、世界共通で愛されています。

 

五色

 

白・黒・赤・黄・緑

 

色とりどりのベジ料理は、それだけでもう食べるカラーセラピーです。

野菜がくれる、自然の色を大いに活かしましょう。カラーが揃うと、栄養のバランスも自然と整います。

昔ながらの自然食にありがちな、テーブルの上がなんだか茶色いぞ、ということにならないようにしたいもの。私も、自然食の茶色い料理から脱出するために、さまざまな料理世界に首を突っ込んでは、試行錯誤の研究をしたものです。それもかつての話です。今では自然食も全体的に彩り豊かなものにバージョンアップしたように思います。

 

ここまで書いておいて、茶色の汚名返上のために一応いっておきますが、そもそも茶色は、おいしい色です。玄米に、ごぼうに、全粒パン・・・ナチュラルカラーの代表です。私たちの健康的な肌の色と同じ、どんな色とも相性のいいカラーです。

醤油や味噌を使うと茶色になるし、よく煮込んだり焼いたりするとやっぱり茶色になっていきます。料理をすれば、色は濃くなっていくもの。陰陽の考え方でいえば、体を温める「陽」の要素が強くなります。

食卓の半分が茶色であっても大丈夫。その分、フレッシュカラーをサポート役にして、彩ってあげましょう。

 

五色が揃わない。だけど毎回揃えられなくても気にしないこと。なんだか食卓がに色が乏しいな、そんなときは器やグラス、テーブルマット、お花なども手伝ってくれますよ。

 

五感

 

視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚

 

そう、美味しさを感じるのは、もちろん舌だけではありません。

見た目、音、匂い、歯ざわりや舌触り、美味しいものは五感で訴えるのです。

五感に訴えるベジ料理、目指したいですね。

 

さあ、テーブルから、どんな擬音語や擬態語が聞こえてきますか?タイプの違う音が聞こえてくると、より変化を楽しめることになります。

 

五感の表現リスト

 

もちもち 

ふわふわ 

ふかふか 

とろとろ 

ふるふる 

じゅわぁっ 

しゃきしゃき 

こりこり 

かりかり

サクサク 

ぽりぽり 

パリパリ 

ガリガリ

プチプチ 

しこしこ 

つるつる 

ヌガッ 

ねっとり

ネバネバ

ぬるぬる

どっしり 

こってり 

さっぱり 

ピチピチ 

アツアツ 

グツグツ 

ひんやり 

ぽってり

 

こんなにたくさん!まだまだ見つかりそうです!

 

五穀

 

穀物や豆を指します。米・麦・大豆や小豆などの豆類・粟、稗、キビ、アマランサスなどの雑穀類、トウモロコシ・ソバなど粒状の実。炭水化物が多いので、世界中で主食となるものです。私は、穀物・豆で、ハンバーグやミートローフなどメインディッシュをつくります。歯ごたえもあって、さすが主食格、満足感があるのです。

付け合わせとしての使い方もできるので、ごはんやパンのように主食以外にも、ひとつかふたつ、五穀入りメニューを加えてみるようにするとテーブルが華やぎます。スープに一緒に入れる、サラダのトッピングに、など気軽に使えます。

 

五大栄養素と微量栄養素

 

当然のことながら、栄養素も多様性の世界です。

テーブルの上の栄養的バランスがとれているか、チェックしてみましょう。五味・五色・五感・・・今まで見てきたような多様性をもったテーブルなら、栄養の多様性も自ずと見つかるのではないでしょうか。

 

お米、麦、豆、お芋、かぼちゃ、パスタなど、穀物の炭水化物群や、腹持ちのいい素材は、こればかりでメニューを構成しないようにと、覚えておくとよいと思います。当初昔ながらのマクロビをやっていたときは、穀物重視で、ここに偏りがちでした。

 

多様性を考えると、いろんな種類の食材が必要になってきます。ですが、基本は旬のお野菜の範囲内で。自然の相応以上に欲張らなくても大丈夫です。次の季節には次の多様性が入ってきますから。

 

ばっかり・づくし料理

 

田舎暮らしをしていると、ありがたいことに茄子が旬!大根が大豊作!また里芋いただいちゃった!なんて、嬉しい悲鳴をあげるときもあります。

ひとつの野菜がふんだんにあるとき、保存食にしたり、たっぷり食べてもらえるようにメインディッシュの役を与えたり、形を変えて複数の料理に登場させたり。

こんなときこそ、多様性とバランスを考えながら、飽きない料理をつくるのが、料理人の腕の見せどころです。

 

やさしいだけではなく

 

ほかにも、料理にメリハリをつける指標をあげてみます。対照的な要素を、組み合わせることで、自ずと料理の表現は多様になり、五感が活性化します。

 

 

冷たい料理 ⇄ 温かい料理 ⇄ 常温の料理

 

やさしい味 ⇄ 刺激的な味 

 

あっさり味 ⇄ しっかり味 (軽い 重い)

 

加熱したもの ⇄ 生のもの

 

手をかけた料理 ⇄ 手をかけないシンプルな料理

 

ドライな料理 ⇄ ジューシーな汁気多い料理

 

脂っこいもの ⇄ さっぱりしたもの

 

 

ベジを扱う上でとくに私が意識しているのは、やさしさばかりのお料理にならないように、ということ。

なぜなら野菜は、受容的な、優しい性質を本来もっているから。

優しい野菜料理をつくることは、野菜の得意技。

しかし野菜だけの料理を、バリアフリーにいろんな人に満足してもらいたくて準備するとき、「あなたってとってもやさしい人だけど、もの足りないわ」なんて言わせないように、ちょっとワルでやんちゃなイメージも漂わせたい。

そこで、「植物の動物化」によって肉食系ベジのおかずを一品入れたり、歯ごたえをしっかりめにしたり、味をしっかり効かせたりと、やさしさに対してのメリハリをつけるのです。

 

こうして見てきたように、ひとつひとつの料理は対極的な要素でできたマトリックスの、どこかに位置づけられます。

いい塩梅に分散しているとメリハリがあるメニューということになります。

メニューづくりは、かくしてあなたのなかに自然に備わっている平衡感覚を呼び起こすことにもなるのです。

 

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