日々のノート

植物料理研究家YOSHIVEGGIE(ヨシベジ)のブログへようこそ。自然のリズムと同期する生き方。セルフラブから始まる地球平和。ノート術。生きづらさをギフトに変える心理学。食べもの、暮らし、マインドフルネス。

ニューアース・キッチン  1 旅心のごはん 

ニューアース・キッチン

〜台所で母なる地球の声を聴く〜 

1. 旅心のごはん 

 

私は、旅というものに、いつのときも、とてつもなく惹かれます。

埼玉の秩父という山里にやってきて、古民家に出会い、店を営む今も、暮らす旅をしているような気分です。

 

旅のときはいつもに増して食に対して門戸を広げます。名所より団子。作物が育つ現場を訪ね、ローカルな市場を毎日歩き回り、そこに暮らす人たちの日常の食のシーンに触れるのは、私の旅のなによりの楽しみです。

旅の守備範囲は広くはありませんが、ディープな旅をします。エコヴィレッジを訪ねる旅、オーガニック農場で働く旅、コーヒーやお茶などのプランテーションめぐり、バックパックを背負ってのアジア放浪長旅・・・

 

今の私は雑食性で、適度にベジタリアンですが、アジアでの長旅を始めた頃は、ほぼ菜食主義でした。

アジアの旅先では、ベジタリアンでいることは意外と簡単でした。僻地ならともかく、小さな町でも外国人旅行者がいるようなお店では、大抵ベジタリアンメニューが充実していて、食いはぐれてしまうことはほとんどありません。

 

なので最初は、ベジタリアンリストの中から選んだり、お店の人にベジタリアン仕様にアレンジしてもらったりして、嬉々としていたのですが、ふと、気がつきました。

国境を越えて違う文化圏に来たというのに、相変わらず、私が食べているものといえば、ベジタブルスープにベジタブルヌードルスープ、野菜炒め、ベジタブルフライドライス、ベジタリアンフライドヌードル、ベジタリアンカレーの繰り返しではないか、ということに!

 

素材や味付けでローカルらしさが多少伝わってくるものの、これではせっかく未知の国にきて心はすっかり異文化にたいして開いているというのに、肝心の胃袋が開いていないのでは理解できることも限られる気がして、それからは丸ごと楽しむことにしました。現地に友人ができたりローカルな食に挑戦して、お腹が大変な目に合ったことも何度かありましたが!!

移動屋台で売りに来る昆虫をひと通り食べてみたことだって、あります。

 

私のバックバッカー時代と比べると、今はベジタリアン料理も格段に進化しているので、旅先でローカル色豊かなベジタリアンチョイスができるようになったのは、嬉しいことですね!

 

ツアーと違ってぶらり旅では、旅行者同士または現地の人たちとの会話も気さくに始まります。そうしてできた信頼できる友人の家に呼ばれ食事を共にすることもあります。食卓で日本との共通点や違いを見つけ、かの地での食文化、そして同時に日本の食文化への思慕もますます深まります。

 

人は食べることなしに生きていけない。

今このときも地球の上、みんなそれぞれの場所で、誰かと、食事をしています。

厳しい環境のなかにあってもそこでもたらされるものを糧とし、あるいは新しい味覚を求めて旅と交易をし、豊かな食文化を築き、何世代にもわたり人々が命を紡いできてくれたことに、私は畏敬の気持ちを覚えずにはいられません。

 

食のあり方は地域・民族・気候風土でずいぶん違いますし、家族や個人により、また年齢によっても、百者百様です。グローバリゼーションは世界の人々の食のスタイルに大きな変化をもたらしました。ともあれ、多様な食があまねいている地球は、ワンダーランドです。

 

米も麦も育ち、海の幸山の幸と、実にバランスよく四季折々の変化に恵まれた日本の食文化。

日本人に生まれてよかった!と心から思います。比較的穏やかで優しい自然、そしてそこから生まれるからだにやさしい食。そのあまりに心地よい優しさに浸っていると、ふと、未知の異国の食文化の強い刺激にも触れたくなってきます。

 

人の営みの多様性に愛おしさが募り、食文化の多様性を祝福してやまない思いのなかから、私のベジ料理は生まれていきます。今にも地球の上のどこかへ飛び立っていきそうな、旅心とともに。

 

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